女性ホルモンを増やす方法
~いつまでも輝きつづけるために~
一生を通じて女性ホルモンの分泌量は大きく変動し、とくに更年期にはエストロゲンが激減します。この時期の女性ならではの心身の変調や悩みにはどのように対処すればよいのでしょうか。
女性ホルモンを増やすには?
更年期障害の諸症状はエストロゲンの減少に起因しているため、もし女性ホルモンを増やす方法があれば、治療できるのでは? そう考える人は多いかもしれません。
そんな時にまず知っておきたいホルモン関連の治療法や、更年期障害によって現れる症状の緩和が見込める運動・食事法などについてご紹介します。
ホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充療法(HRT)とは、加齢によって低下したエストロゲンを補う治療法で、閉経前後に行われます。
公益社団法人日本産科婦人科学会によれば、ホルモン補充療法は更年期障害の諸症状に有効であるということです。減少したエストロゲンを補充することで、お肌のエイジングケアや精神面の改善にも役立つのだそうです。その他に改善が見込まれる更年期障害の症状の例としては、のぼせや発汗(寝汗)、それらが引き起こす睡眠障害などが挙げられます。
ホルモン補充療法のためには適切な処方を受ける必要があるため、治療を希望・検討している場合は婦人科医へ相談してみるのが良いでしょう。
心身療法
更年期障害の症状を抑える試みのひとつには、心身療法も存在します。
ある研究者は、ヨガや太極拳、瞑想に基づいた心理療法を行うことで顔面の紅潮(ほてり・ホットフラッシュ)・睡眠障害・気分障害・ストレス・筋肉痛や関節痛などといった一般的な更年期障害の発生頻度を低くしたり、症状の程度を緩和したりする可能性があることを報告しています。
治療という位置づけでなく、気分転換や精神的落ち着きのために取り入れてみるのであれば良いかもしれません。
サプリや食事
女性がいつまでもいきいきと輝けるようにサポートするための手段として、漢方療法や予防的な意味合いで行う食事療法を挙げることもできます。
ただ、特定の成分が配合されたサプリメントや機能性食品がどこまで有効なのかということに関しては、十分に解明されているわけではありません。
女性の健康に役立つとされている成分の中で話題に上がりやすいのが、イソフラボンです。大豆などに含まれ、エストロゲンに類似しているということは比較的知られていますが、実際の効果についてはどうなのでしょうか。
大豆イソフラボンのサプリメントが注目される理由
イソフラボンが注目を集める理由に、さまざまな国の伝統療法や民間療法において更年期障害・骨粗鬆症などの治療に用いられてきたということが挙げられます。
結果に一貫性を欠く面もあるものの、「大豆イソフラボン類のサプリメントを摂取すると閉経後の女性に起こるホットフラッシュ(顔面紅潮)が軽減する」という点が複数の研究によっても示唆されています。
食品やサプリメントとして短期間摂取した場合、アレルギーなどの場合を除けば安全性が高いという特徴も、大豆イソフラボンが推奨される要因のひとつと言えそうです。
女性ホルモンの減少が引き起こす症状
先ほども触れた通り、更年期障害はエストロゲン分泌量の低下が原因で引き起こされます。“更年期障害”と一口に言ってもその症状は多様で個人差もあるため、一例をご紹介します。
加齢によって女性ホルモンが減少し、更年期障害の症状が起こるのはごく自然なこととも言えるので、深刻に悩まないことが大切です。
症状が重くてつらい場合は我慢をせず、病院へ行って相談をしてみましょう。
不眠
更年期の女性の約半数が不眠になるといいます。加齢によって眠りは浅く・短くなる傾向にありますが、エストロゲンが急激に減少するために起こるのぼせ・発汗・動悸や不安感・うつなどがきっかけで十分な睡眠がとれなくなってしまうケースも多いそうです。
「寝付けない」という曖昧な症状として更年期障害の初期に現れることが多く、見過ごされて悪化してしまう場合もあるため、対処には注意が必要と言われています。
体重の増加
更年期を境に起こる大きな変化として、急に体重が増加することが挙げられます。その原因には、女性ホルモンの減少と、消費エネルギーの低下(代謝の低下などによる)が挙げられます。この2点が作用し合うことにより、急激に体重の増加が見られる場合があります。
このような体の変化は、運動量と摂取エネルギーのバランスを見直してみるよい機会となるかもしれません。
骨粗鬆症のリスク
骨粗鬆症とは、骨の中のカルシウム量が減って骨がスカスカになり、骨折を招く原因となる症状です。
この骨粗鬆症も、女性ホルモンの減少と関係があります。エストロゲンは“新しい骨を作り出す細胞を活性化する”という働きを持っているため、更年期にエストロゲンが減少すると同時に骨も弱くなってしまいます。骨粗鬆症が高齢の女性に多いと言われているのはこのような理由によるものです。
骨の強度を保つために、カルシウムやビタミンDをとったり、運動によって刺激を与えたりすることも骨を強くするのでおすすめです。
不安やうつなどの原因にも
女性ホルモンの分泌量は、セロトニンという脳内物質とも関係があります。
セロトニンは精神を安定させる働きを持つ神経伝達物質です。近年、女性ホルモンの分泌量が減少することでセロトニンの低下を招くことが知られるようになってきました。
セロトニンが低下すると他の神経伝達物質のコントロールがしづらくなり、攻撃性が高まったり不安やうつなどの精神症状を引き起こしたりすると言われています。
まとめ
女性ホルモンを増やすには、ホルモン補充療法の他、補助的に行うと良い心身療法や食事療法などで効果が期待できることがわかりました。
年々延びている女性の平均寿命から考えると、閉経を迎えた後のおよそ30年という年月をエストロゲンが低下した状態で過ごすこととなります。その期間、「いかにいきいきと輝いた毎日を送れるか」ということは、女性にとって大切なテーマと言えるでしょう。