メタボと診断される基準は腹囲何センチ?
メタボ解消のための食事・運動方法

“メタボ”はメタボリックシンドロームの略語です。その診断基準には腹囲のサイズなどが含まれますが、単に太っているだけではメタボとは言わないことをご存知ですか? 今日からメタボに詳しくなって、メタボ対策・メタボ解消に早めに取り組みましょう。

メタボ=メタボリックシンドロームの定義とは?

メタボと聞くと、「太っている、肥満という意味かな?」と思う人は結構いると思いますが、メタボという言葉にはもっと深刻な意味合いがあります。メタボ=メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満の人が、高血圧・高血糖・脂質異常の症状にいくつか当てはまっている状態を指す言葉なのです。
これは言い換えれば、動脈硬化が進行しやすく、心臓病や脳卒中などの命にかかわる病気を発症するリスクも高まっているということです。心臓病や脳卒中は日本人の死因1/3を占めているので、早期にメタボを発見して対策することが重要な課題となっています。

メタボは、内臓脂肪を起因とする病気の発症リスクを高める

内臓脂肪が溜まって内臓型脂肪肥満になると、高血圧、糖尿病、脂質異常症などのさまざまな生活習慣病を発症しやすい。これらの症状が動脈硬化を引き起こす。
    ★★だから、早期のメタボ対策・改善が重要!

動脈硬化が進行すると血管の内膜に脂肪が蓄積し、血管が圧迫されて狭くなったり、血管の内皮細胞が傷つけられたりする。
    ★★動脈硬化は自覚症状がないうちに進行し、複数の生活習慣病をかかえていると進行が加速する!

心臓病や脳卒中が起きる危険が高まる。
    ★★こうした重篤な病気の症状が現れる前に、メタボ対策・改善をしよう!

メタボの要素となる、内臓肪型肥満、高血圧、高血糖、脂質異常症とは?

こうした要素が動脈硬化を進行させる要因となり、脳卒中や心臓病のリスクを高める可能性があります。

内臓脂肪型肥満とは おなか周り(腹腔内)に脂肪が蓄積したタイプの肥満です。内臓脂肪量については見た目だけで判断することはできず、一見痩せている人でも内臓脂肪が多い場合もあります。内臓脂肪が蓄積すると、高血圧、糖尿病、脂質異常症などが起きやすくなります。
高血圧とは 血圧が高くなっている症状です。日本高血圧学会による高血圧の基準は、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上です。
高血糖とは 血糖値が高くなっている症状です。高血糖が続くと、糖尿病と診断されます。糖尿病になると、別の合併症をわずらうリスクも高まります。
脂質異常症とは 脂質代謝に異常をきたし、中性脂肪やコレステールなど、血液中の値が正常域をはずれた状態です。脂質異常症には、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセライド血症(高中性脂肪血症)などがあります。

メタボ健診の基準〜メタボと診断される腹囲は何センチ?

メタボリックシンドロームの症状をいち早く発見するために、日本では2008年から、40歳以上の人を対象としてメタボ健診(特定健康診査)と改善に向けた保険指導が実施されるようになりました。

メタボ健診では、内臓脂肪がどのくらい溜まっているかの目安とするために、まず腹囲の寸法を測ります。
腹囲とはウエスト周りですが、一番くびれている所ではなく、おへその位置が基準です。計測は、立って軽く息を吐いた状態で行ない、男性は腹囲85cm以上、女性は腹囲90cm以上でメタボの一つ目の基準を満たしているとみなされます。
この腹囲に加えて、高血圧・高血糖・脂質異常の3点についても調べ、基準値を超えるものが2つ以上あると、メタボと診断されます。

メタボになると、善玉コレステロールは減ってしまう

内臓脂肪型肥満になると、余分な脂肪が血液中に放出されて、血液中の中性脂肪(トリグリセリド)の量が増えてしまいます。中性脂肪は体脂肪の代表で大切なエネルギー源なのですが、血液中で増えすぎると、動脈硬化の進行を抑えてくれる善玉のHDLコレステロールが減ってしまうという問題が発生します。
ですから、メタボ健診で脂質異常について調べるときは、血液中の中性脂肪と、善玉コレステロールの値をチェックすることになっています。

メタボを予防・解消する方法〜なにから始めたら効果的?

ここまで、メタボを起因とするリスクについて見てきましたが、これらはさまざまなリスクの中の代表的なものにすぎません。しかし高血圧症、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の予防に取り組めば、全体的なリスクの度合いも押し下げることができるので、日頃から「血圧・血糖・血中の脂質」の値を正常に保つことを心がけたいものですね。

血圧・血糖・血中の脂質を正常に保つにはどうしたらいい?

健康の基本はなんといっても、食事と運動です。
「血圧・血糖・血中の脂質」が異常値になる大きな原因の一つは、内臓脂肪です。日々の生活では食べ過ぎに注意し、軽い運動を習慣にして、内臓脂肪が増えっぱなしにならないよう注意しましょう。ただ、内臓脂肪を減らそうとして、食事だけを減らす方法は良くありません。食事も運動もして筋肉量を増やすからこそ基礎代謝が高まり、健康的に減量しながら太りにくい体をつくっていくことができます。掃除をする、荷物を運ぶ、歩く、階段を上るといった小さな動作でも、毎日継続すれば内臓脂肪が増えるのを抑える効果があります。

食事面では、高血圧につながる塩分を控えめにしたり、糖質や脂質の摂りすぎに注意したりするほか、高コレステロールを抑えてくれる食物繊維や青魚などを積極的に摂るようにするのもよいでしょう。

メタボ解消のための食事・運動方法とは

メタボと診断されてしまった場合は、もう少し厳しく食事と運動の量を管理して、改善に取り組むことが必要です。食事量を決めるときは、1日に消費するエネルギー量よりも、食事から摂取するエネルギーのほうが下回るようにすることがポイントです。

<減量は無理のないペースで継続する>
厚生労働省の生活習慣予防のための健康情報サイト(e-ヘルスネット)では、「体重の5%を、3~6ヶ月間で減量すること」を目標にすると、内臓脂肪を減らして「血圧・血糖・血中の脂質」の値も改善できるとしています。
たとえば体重が80kgの人の目標は「体重の5%にあたる4kgを、3~6ヶ月間で減量すること」になり、仮に、4kgを6ヶ月で減らしたいなら1日当たりの摂取エネルギーを消費エネルギーよりも150〜200kcal少なくします。一般的に、1日あたりの消費エネルギーは、男性が2200~2000Kcal、女性は2000~1800Kcal前後なので、そこから150〜200kcalだけ減らせば良いと考えれば、現実的な目標設定だと言えそうです。
<これ以上内臓脂肪を溜めないための食事方法>
また、食べ方も重要で、栄養バランスを考えながら1日3食の規則正しく食事をして、腹七分目で終えることが基本です。早食いしたり、寝る前に食事やお酒を飲食したり、間食が多い人は内臓脂肪が溜まりやすいので注意しましょう。よく噛んでゆっくり食べる、寝る前の3時間は飲食しない、おやつは食べ過ぎないことも大切とのことです。
<運動は、日常動作・有酸素運動・筋肉トレーニングの三本立てで>
運動量についても、メタボでない人よりは少しハードに設定しましょう。日々生活のなかで身体を動かすことはもちろん、ウォーキングのような軽めの有酸素運動を続けること、そして筋肉量をアップさせるトレーニングを行って、基礎代謝を高めると効果的です。基礎代謝を高めるには、スクワットや、腕立て伏せ、椅子に座った状態で膝を上げる運動などがよいようです。

メタボ対策は、ストレス対策から?

ストレスはメタボ対策とは関係なさそうにも思えますが、ストレスがあると食欲を増すホルモンが分泌されることが分かっています。精神的に疲れているときも、睡眠不足や不規則な食生活となりやすいので、結果的に内臓脂肪がたまりやすくなります。どうやら「メタボ対策は、ストレス対策から」といっても、過言ではなさそうです。

また、メタボ健診の保険指導では喫煙歴も確認しますが、これは喫煙習慣が動脈硬化のリスクをさらに高めてしまうためです。でも、喫煙習慣を止めたら、口さみしさやストレスから食べ過ぎて太ってしまった、という話もよく聞きますね。そうなっては本末転倒です。

しかし、自分一人だけで減量や禁煙を続けるのは決して楽なことではありません。そのため、メタボ健診の保険指導では、メタボ予備軍とみなされた人には「動機づけ支援」を一度行い、メタボと診断された人には医師・保健師・管理栄養士が生活習慣の改善を3〜6ヶ月間サポートする「積極的支援」の仕組みが用意されています。また、食事や運動とともに、代謝のアップや脂肪の燃焼に効果がある黒酢などを飲むといった工夫をすることも、目標達成の助けとなるでしょう。

メタボ改善に根気よく取り組むうえでは、自分を心身ともにサポートしてくれる身近なサポーターを見つけることが大切ですね。