めまい・肩こり・不眠・・・。
つらい更年期症状への対処法

更年期障害になると、めまいや不眠などのさまざまな症状が起きます。身体が言うことをきかないもどかしさから、精神的な症状を悪化させてしまうことも。つらい更年期症状を乗り切るには、どのように対策すべきなのでしょうか。

閉経前から始まる主な更年期症状と対処法

通常、閉経期の月経の変化は40歳代から現れると言いますが、更年期はそれよりも前から始まっています。閉経期を含む長い更年期の間には、卵巣の老化がすすみ、ホルモンバランスが崩れ、とくに女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減ることにともなって、様々な更年期症状を経験することになります。しかしその症状の重さや期間の長さは、個人差が非常に大きいようです。
一般的に、更年期障害の症状には主に次のようなものがあります。

主な更年期症状はのぼせや発汗、肩こりや腰痛など

更年期女性の約7〜8割にのぼせや火照り、多量の発汗といった血管運動神経系の症状がみられます。この症状は月経が停止する前から始まり、多くの場合は1年以上、半数の女性で5年以上も続くと言われています。のぼせは一時的ですが、皮膚が紅潮したり悪寒を生じたり、夜間に寝汗として症状が出て睡眠を妨げることもあります。
他にも動悸、息切れ、手足の冷えなども挙げられます。
また、運動神経系症状に分類される疲労感、肩こり、腰痛、関節痛や筋肉痛なども発症率が高いと言われています。

悩む人が多いのぼせへの対処法

のぼせに悩まされる中年女性は少なくない一方で、そのメカニズムはあまり分かっていません。誘因となりうる要素には喫煙、温かい飲料、亜硫酸塩やそれを含む食品、刺激のある食べ物、アルコール、カフェインなどがあるとされるため、これを避けることが対処法の一つとなります。そして、衣服を重ね着することもおすすめです。必要に応じて脱ぎ着できるような服装にしておけば、急なのぼせや悪寒に対応しやすくなるでしょう。

めまいや不眠は精神神経系の更年期障害

更年期には身体にさまざまな異変が現れると同時に、神経精神的変化をともなうことも特徴です。女性ホルモンの減少による身体的な不調がもとになり、精神的な不調へと発展することも多くあるようです。

めまいや不眠といった更年期障害への対処法

代表的な精神神経系症状には、めまい、不眠、神経質、いらいら、抑うつ、不安、頭痛などの症状があります。
このうち不眠については、実に更年期女性の約2人に1人が悩んでいると言われています。夜間にのぼせや寝汗が繰り返されることがきっかけで不眠が慢性化することが多く、不眠が原因で疲労や過敏性が増したり、集中力が低下したりする可能性もあります。不眠は意識すると余計に眠れなくなるという悪循環に陥りやすいため、症状が重くなることが心配されます。その場合の対策方法としてはホルモン補充療法や、睡眠薬などの薬による治療が有効です。

多様な更年期症状には漢方療法も有効?

日本では保険診療により医療機関での漢方治療がなされてきた経緯があり、更年期障害の症状に対しても漢方療法が有効に用いられています。漢方療法を検討したいという人は、まず医療機関で相談してみてはいかがでしょうか。

定期的な運動は更年期症状を軽減する

更年期症状の改善に役立つのは、薬物治療だけではありません。予防的に食事療法が取り入れられる場合もありますし、たとえば緑茶のような身近な食品を更年期症状の治療に使うことも行われているようです。
そんな非薬物治療のなかでも効果が期待されているのが定期的な運動、ストレスの回避、リラクゼーション療法などです。これらには睡眠を改善したりイライラを軽減したりする効果があるとされており、リラクゼーション療法はのぼせや火照りなどの血管運動症状を軽減するとも言われています。

ちなみに、更年期にエストロゲンが減少すると骨粗鬆症のリスクが増加するため、急激にエストロゲンが減少する閉経期の最初の2年間はとくに注意が必要です。運動不足は骨粗鬆症の要因の一つであるため、その予防という意味でも、更年期に積極的に運動することは有効だと考えられます。

更年期障害を発症する中年女性は、ちょうど身体の衰えや老化を実感したり、子供の独立に直面したりする時期であることから、より多くのストレスを抱えているケースが多いことも指摘されています。更年期と向き合いながら、健やかにイキイキと暮らすための工夫として、運動や趣味を楽しむことを心がけると良いでしょう。

まとめ

更年期障害では、身体の不調がのぼせだけ、めまいだけ、ということは考えづらく、身体および精神の両面においてさまざまな症状に悩まされます。その具体的な症状や程度は個人差が大きいと考えられるため、他人の対処法がそのまま自分に当てはまることは少ないかもしれません。しかし更年期の症状はストレスなどの要因とも関係しているため、悩みを一人で抱え込まず、家族などに話してみるのもいいでしょう。また、症状が辛いときは無理せず、婦人科医で相談してみることも大切です。