緑内障の症状をチェック!原因から治療方法までまとめました
緑内障は自覚症状が分かりづらく、その原因も完全には究明されていない眼病です。60歳を超えると緑内障の発症率が高くなり、日本人の最大の失明原因になるとも言われています。その検査や治療方法についてまとめました。

緑内障は日本における最大の失明原因
緑内障は、日本人の失明原因の約25%を占めるとされています。緑内障は年齢に関係なく起こりますが、60歳を超えると6倍多くなるとも言われています。
緑内障とはどんな病気なの?
緑内障は、視覚を司る眼の視神経がなんらかの原因で障害を受けて、視力が低下してしまう病気です。日本眼科医会によれば、健康な眼では約100万本の神経繊維が集まって、眼と脳をつなぐ「視神経」となっており、緑内障にかかると、その神経繊維が徐々に減っていくと言います。
緑内障の原因はまだ全容が分かっていない
緑内障の原因について、日本眼科医会は「確実な原因は分かっていない」としながらも、「眼圧が高い」状態が続くと眼の奥の視神経が障害されて緑内障になることや、「視神経が弱い」、「血流が少ない」、「視神経に毒として働く物質が存在する」などの点を考えられる原因として挙げています。
眼圧は、眼球内を流れる房水という液体の分泌と流出のバランスで決まります。正常な眼圧は11〜21mmHgの範囲で、眼球の形を維持するなどの役割を果たしています。
眼圧の上昇が緑内障の原因の一つになることは確かなのですが、眼圧が高い人が必ず緑内障になるわけではなく、緑内障にかかった人の3分の1は眼圧が正常もしくは眼圧が低いことも分かっています。
視力検査だけでは不十分?緑内障の早期発見のための検査
緑内障は原因が全て分かっていないこともあり、予防と早期発見の観点からは、たとえ視力低下などの自覚症状が無くても、眼科で詳しい検査を定期的に受診することが大事だと言えそうです。とくに40歳以上の人は、1〜2年毎に定期的かつ包括的な眼の診察を受けることが推奨されます。
眼科で検査をした結果、視野欠損、網膜にある視神経乳頭の異常や眼圧の上昇が認められた場合は、緑内障が疑われます。その際はより詳細な検査を受けた後、視神経障害の特徴的所見が認められ、他に原因が無ければ緑内障と診断されます。
緑内障はタイプによっても症状が異なる
緑内障は、大きくは「原発開放隅角緑内障」と「閉塞隅角緑内障」の2種に分類できますが、細かくは多数の病型があり、原因として考えられる要素もさまざまです。
原発開放隅角緑内障の症状
高眼圧または正常眼圧でも視神経障害をきたす緑内障で、症状の発生は遅く、視野欠損を伴います。しかし初期症状はほとんど無く、視野が欠けても左右不対称なので自覚しにくく、視神経の萎縮がかなり進行してから気づくと言います。危険因子としては、高齢、家族に緑内障にかかった経験のある人がいる、角膜中心厚が薄い、全身性高血圧、糖尿病、心血管疾患、近視などがあります。
日本眼科医会は、日本人の緑内障の多くはこの原発開放隅角緑内障であると言っています。
閉塞隅角緑内障の症状
隅角というのは房水の出口にあたる部分で、そこが閉塞されて眼圧が上昇し、視神経が障害される緑内障です。慢性・急性があり、急性の場合は激しい眼の痛み、充血、視力低下などの症状が現れ、緊急に治療する必要があります。

緑内障の予防と治療には、目薬などで眼圧を下げる方法が有効
残念ながら、緑内障による視力障害は、回復させることができません。そのため治療では、まず眼圧を下げることによって、視神経の障害などの進行を食い止めることを目指します。方法としては、目薬の処方や手術で眼圧を下げることができます。これは、臨床的に証明されている唯一の治療法です。高眼圧の患者には予防的眼圧下降によって緑内障の発症を遅らせるという、予防的治療方法がとられることもあります。
日本眼科学会によると、緑内障の有病率は年齢とともに増加することから、日本では少子高齢化に伴って、患者数が増えていくと予想されるそうです。しかし緑内障があるのにもかかわらず、気づかずに過ごしている人が大勢いるとのこと。緑内障は失明が避けられない場合もありますが、早期発見・早期治療によって失明という危険性を少しでも減らすことができる病気だと言います。
改めて、緑内障の早期発見と治療には、「40歳を過ぎたら、1〜2年毎に包括的な眼の診察を受けること」が重要だと、肝に銘じておきたいものです。