その頭痛や肩こり、目の疲れが原因かも?
頭痛や肩こりに悩まされている人、目の疲れも感じていませんか?現代人の疲れ目の原因はどこにあるのでしょうか?症状を解消するには、根本的な原因を取り除く努力がなにより大切かもしれません。

その頭痛や肩こりの原因の大もとは…VDTかもしれない
みなさんは、1日のうちにどのくらいパソコンを使いますか?デスクトップ型パソコンの他にも、ノート型や携帯情報端末など、画面表示をする端末装置はいろいろとあり、これらを総称して「Visual Display Terminals(VDT)」と呼びます。仕事場や家庭でVDTを使った作業は欠かせないものになってきており、近年、そうした時間が増えたことで、目の疲れを自覚するようになった人もいるのではないでしょうか。このVDT作業によって引き起こされる症状の代表的なものが、眼精疲労だと言われています。眼精疲労は、ときに頭痛や肩こりも伴います。
VDT作業はなぜ眼精疲労の原因になりやすいの?
- 物を見るときの目の働きを知っておこう
- 人が目で何かを見ることができるのは、対象から発せられた光が眼球をとおって網膜に届き、光の信号が視神経から脳へと伝わるためです。光はまず眼球表面の角膜から入り、次に焦点を合わせるためのレンズである水晶体、そして中央部の硝子体を透過して網膜まで届きます。近くを見るときは、水晶体が厚みを増して焦点を合わせるのですが、水晶体を膨らませている間は周囲の毛様体筋が収縮して緊張状態となっています。反対に、遠くを見るときはこの毛様体筋がゆるんで水晶体が薄くなります。
- VDT作業を続けると、目の筋肉は緊張しっぱなし
- 近くを見るVDT作業を続けると、毛様体筋も緊張し続けて疲労しやすくなります。そして、遠くをみたときに毛様体筋がゆるむスピード本来よりにぶくなってしまうと言われており、ピント調節機能の低下や近視化といった不具合の原因になると考えられています。
頭痛や肩こりは眼精疲労の一症状
目の疲れは、視力低下を招く原因になることはもちろん、目以外の部分にも疲労が広がるおそれがあるためあなどってはいけません。頭痛や肩こりの症状もその一つ。「眼精疲労」になると、次のように色々な自覚症状が現れるとされています。
- 遠見および近見時の視力低下
- 頭痛や眼痛
- 視野狭窄(視野がせまくなること)
- 充血・熱感・流涙
- 乾燥・異物感
- めまい・肩こり・不眠など
VDTによる目の疲れを解消する方法
このように、頭痛や肩こりの一因に眼精疲労があり、眼精疲労はVDT作業からきている可能性があります。作業中は体や目の疲れが現れにくい態勢を心がけましょう。
パソコン作業においては、1時間作業したら10分程度休むこと。背筋を伸ばして椅子に深く座り、足裏を床につけるようにします。腕は肩の力を抜いてリラックスさせ、キーボードをたたく手は手首を曲げないこともポイントです。
作業中は目と体のストレッチを心がけよう
目の疲れを予防するために、毛様体筋の緊張をほぐすことも意識しましょう。作業中は時々画面から目をはなして3m以上遠くをみるようにすると、目のストレッチになると考えられます。また、椅子から立ち上がって屈伸するなど体もストレッチすると良いでしょう。
映像メディア産業の発展で、疲れ目の原因も多様化?
一方、映像メディア産業の進展も、現代人の疲れ目と無縁ではありません。過去には、アニメーション中の激しい色や光の変化が原因で「目がいたくなった」「きもちがわるくなった」などの健康被害が報告されています。また、何らかの視覚的な刺激を受け、ホームビデオカメラの動画から乗り物酔いに似た「映像酔い」が起きることもあれば、テレビ・映画などで採用されている立体映像を視聴した人が「眼精疲労や3D酔い」を感じることもあるようです。このような事例を受けて、ISO(国際標準化機構)は、3D映像の安全性に関する国際標準規格化の取り組みを行っています。
技術的な進歩により、より美しく新鮮な感覚の映像が提供されるのは喜ばしいことですが、目にとってはより疲れを感じやすい環境になってきていると言えるかもしれません。
目の疲れ・頭痛・肩こりはストレスとも関係あり
人は、多くの情報を視覚から得ています。そのため、目の疲れは目を酷使することに起因すると考えがちですが、実は、心理的問題との関係も深いと言われています。
心身症の一つとして、過労や精神的ストレスなどによって眼精疲労が起こると考えられるようになってきています。
さらには、作業時間や内容のほか、照明、温度・湿度、換気、騒音などの職場環境も眼精疲労の原因になると考えられています。目の疲れや、それに伴う頭痛や肩こりを解消したいときは、環境だけでなく、ストレスという面からも改善できそうな点を考えてみると良いでしょう。

まとめ
目の疲れ・頭痛・肩こりといった症状は、連鎖的に発生していることがあり、原因も一つではないと考えられます。最低限の対策法として、症状がひどくなる前に休息をとることはとても大事なのではないでしょうか。いそがしいときこそ、小休止を意識し、VDT作業環境にも配慮しましょう。また、自覚症状だけで判断せずに、定期的に専門医で心身の健康状態を点検することも大切です。いそがしい人は自分のことをついつい後回しにしがちなので、もし同僚や家族にそういうタイプの人がいたなら一声かけて、休憩を促すようにしてあげてください。